それを今更否定されるというのも困りものだ。


最初こそ罪の意識で押しつぶされそうになったものだが、今は心は痛んで後悔はすれども、止めるつもりはなかったのに。


(……惑わせるなよ……烝)


袖口で乱暴に涙を拭う。


(……復讐なんて……先生の為にはならないのか……? じゃあ私がしてきたことは無駄だっていうのか……?!)


復讐の意志が揺らぐ。風邪に吹かれたろうそくのように、それはゆらゆらと大きく揺れた。


目を強く瞑ると、ゆっくりと息を吐く。
「…………。……帰るか」


蒼く晴れた空を見上げ、誰にいうでもなく呟く。雲一つ探すのも大変そうな快晴の大空に、不覚にもまた頬に一筋の涙が伝った。









西の空が朱に染まる頃、光が屯所に戻ると、門の前には沖田と土方が並んで立っていた。


「あ、光さん! お帰りなさい……心配しましたよ」「遅かったな」