壬生浪士組に誇りを抱いている山崎烝という男は、大切に思う存在――光にさえ決して容赦をしない。
『守りたい』という気持ち。
『出ていけ』という気持ち。
そのどちらにも嘘はない。相反する気持ちを同時に抱き、山崎は光に痛烈な言葉を投げかける。
「……男の格好しよってもお前は“女”やからなぁ。お前に刀は合わん」
ピクリと背中を震えさせた光は、山崎と目を合わす事が出来ずに下を向いた。
「……無理なんやったら去ね。そうやないなら早よ屯所に戻れ」
突き放すように胸倉を掴んでいた手が離された。その冷たい動作によって、光は少しよろけてしまう。
だが、山崎はそんな光を無表情で見て、直ぐに背中を向けて去ってしまった。
冷たい言葉。
冷たい所作。
冷たい視線。
目頭が熱い。
気付くと、頬には幾筋にも涙が伝い、いくら拭ってもこぼれ落ちる。地面に染みを作る涙は一向に止まらなくなっていた。
『守りたい』という気持ち。
『出ていけ』という気持ち。
そのどちらにも嘘はない。相反する気持ちを同時に抱き、山崎は光に痛烈な言葉を投げかける。
「……男の格好しよってもお前は“女”やからなぁ。お前に刀は合わん」
ピクリと背中を震えさせた光は、山崎と目を合わす事が出来ずに下を向いた。
「……無理なんやったら去ね。そうやないなら早よ屯所に戻れ」
突き放すように胸倉を掴んでいた手が離された。その冷たい動作によって、光は少しよろけてしまう。
だが、山崎はそんな光を無表情で見て、直ぐに背中を向けて去ってしまった。
冷たい言葉。
冷たい所作。
冷たい視線。
目頭が熱い。
気付くと、頬には幾筋にも涙が伝い、いくら拭ってもこぼれ落ちる。地面に染みを作る涙は一向に止まらなくなっていた。