「ええ加減にせえよ……」


地を這うように、暗く重い声で言葉を発する山崎に、光は言い知れない恐怖を抱いた。


山崎はいつも昔から、光に優しさを持って接していた。怒りを顕著にする彼は、入隊した時と今日とで二度目だ。


「――……師匠を殺した奴は、過激派攘夷浪士やったかもしれへん。“復讐したい”て思うのも分からんでもないわ。


……せやけど、関係あらへん他の浪士の命を奪おうとするお前と、そいつに…………、


なんぼの差ァがあるっちゅうんや?!」


「……違う!……」


「違わん! 自分がしとること……もっと考えなあかんやろ!? 復讐やなんや言える立場やない!」


ゆっくり血反吐を吐くように、何度もそう言う山崎は、酷く苦悩し悲嘆に暮れた表情(かお)をしていた。


容赦のない辛辣な山崎の言葉は、見えない刃となって光の胸に突き刺さる。