「それに山崎さん。非番の時は気楽に話して下さいと言っているじゃないですか。

井岡さんも、そんなにピリピリしないで下さい。態度が露骨に変わりすぎです!」


「ですが、」
「しゃあないなぁ、沖田はんは。これでええやろ」


渋い顔で否定しようとする光を遮り、山崎は口調を崩した。光が眉を寄せて見てくるのが分かるが、安心させようと笑った。


「沖田はん。こいつ人見知りするんや。せやから、仲良うしたって下さい」


「そうなんですか?
井岡さん。非番の時は、僕のこと総司と呼んでください! 敬語も要りませんから」


「総司、か……わかった」


「じゃあ、僕も光さんって呼ばせてもらいますからね!」


――やはり光は少し変わったのかもしれない。以前なら、壬生浪士組の誰とも話すことは無かっただろうに。


(……これでええんや)


山崎は安心してホッと息を吐いた。その時の山崎に、暗い気持ちなど一片たりとも無かった。まやかしに過ぎなかったのだ。