(沖田さん、また甘味を沢山食べとるんやな……あんなん、見ただけで胸やけするわ……ほんまに)


内心で山崎がげっそりしていると、沖田はあっという間にその大量の甘味を口に詰め込み、幸せそうに微笑んだ。


山崎の様子を感じ取ったのかはわからないが、沖田は口を拭うと、まるで女性のように小首を傾げる。


「――あれ? 山崎さんって甘味好きじゃありませんでしたよね。ってことは、井岡さんが好きなんですか、甘味」


「嫌いじゃありませんよ、俺も光も。ただ、沖田さんみたいに、そんなに沢山は食べないだけです」


未だに隊士と距離を置いている光は、沖田を目の前にして、少し身体が強ばっていた。


それに気付かない沖田ではないだろうが、構わず光に話し掛けている。


「そうそう、稽古お疲れ様でした。僕も井岡さんに稽古を付けて貰いたいのに……土方さんたら許してくれないんですよー……」


膨れっ面をして「あの鬼……」と呟いた沖田は「どう思います?」と、山崎と光の顔を代わる代わる見つめてきた。


自分が付けている稽古の話だからか、反応に困っている光を認めて、山崎は苦笑いをしながら口を開いた。


「副長は一番隊の力を認めていらっしゃるのでは? 特別に光の稽古を受けずとも、普通の稽古で事足りると」


「……そうなんですかねぇ?」