「この刀はねェ……高温の内に叩いたせいか、色が白くなったやつでね。気味悪く言うやつもいるが、短刀だから太刀よりも折れにくい。だが色のせいで銘は打てねえときた」


値段はお得なんですがね。


悔しさを口の端に滲ませた店主は、やり切れないため息をついて、あらわになった刀身を鞘に納めた。


「だが、いい短刀だな……それにする」


「ありがとうございます……!」


光の言葉を聞いた瞬間、店主は悲しそうな表情から一転、浅黒い顔に喜びに満ちた表情を浮かべて見せる。


短刀の代金を払うと、光はお釣りを受け取らずに、店主の懐に収めさせた。


店主は、頭を傾げて光に説明を求める。


「少し……、聞きたい事がある」


「…………情報料ってわけですかぃ」


声の調子を低くさせた光に合わせて、店主の声の調子も自然と潜められたものへと変わった。


しばし沈黙した後、先程まで微笑んでいた表情が嘘のように、光はゆっくりと無表情で話し始めた。