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京の街中を華やかな着物を着飾った女性達が行き交い、立派な大小を引っさげた侍が闊歩する。
文久3年、4月初旬。
男と女の中間ほどの身長に、すらりとした細身の体躯。何とも見目麗しい青年が通りを悠然と歩いていた。
月代(さかやき)はしておらず、豊かなで艶やかな黒髪を高い位置で纏め上げている。
涼しげな瞳に中性的で綺麗な顔立ち。曖昧な性別の境界線にいる彼は、周りの老若男女の視線を集めずにはいられなかった。
黒い袴と羽織りを纏っているため、余計に顔の白さが強調されている。
女のように美しいのだが、彼にはどこか女とは一線違うものがある。外見然りだが、男のように荒々しいものも抱えているように見えた。
遊廓から覗くような、綺麗で儚い白い手には、実は沢山の剣だこがあり、女を惹きつけるただの歌舞伎者ではない事は確かである。