『力の開きがある相手とは、1対1で挑むことは勇敢ではなく、無謀で愚か者なだけです。適わないなら集団で囲み、数で制しなさい』
……何度も説明したのだが。それが、数は勝っているのに光に勝つことが出来ない一番の原因であることを分かっていない。
ため息をつきたかったが、怪我をさせないように足払いを掛けて転ばせるだけに留めた。
ダンッ!
その隊士が倒れると同時に、いつの間にか正面には松原、背後には藤堂が隙無く構えていた。その様は、今にも斬りかかってきそうである。
敵を相手取ったような雰囲気は、その場で伏せっていた隊士たちの思考力すら呑み込んでしまった。
指先を僅かに動かすことさえ躊躇われる威圧感に、隊士たちみんなは、固唾を呑んで道場の中心を見守る。
「――さあ、どこからでも……」
口の端を歪ませた光は、最大限の挑発を返した。