愉快げに高笑いする芹沢に対し、土方は呆れたように嘆息を吐いた。


夕餉を広間でとった後、芹沢が光と酒を飲み交わしたい、と言ったのだ。断るわけにもいかない光は、大量の酒を飲まされることになった。


ある程度ならば酒に強い光だが、今回は芹沢が酔っていく光を面白がり、たくさんの酒を呑ませ過ぎたのだ。


酩酊で止めればよいものの、前後不覚になるまで泥酔させた芹沢は、なんとも人が悪い。


(山崎が怒りそうだな……)


見かねた土方は、光の手から酒を素早く奪い取る。すると土方は、驚いたような顔をして見上げてくる光と視線が合った。


――まるであどけない子供のようだ。


「何だよ。酒はやんねえぞ」


そう言いながら、土方は奪った酒を後ろに立っていた斎藤に手渡す。これで取られる心配はない――、と思っていた時。


ギュッと、光が土方に抱きついた。
「……せん、せ」


「お、おい、なにしやがる?!」


決して甘えているという雰囲気なわけではなく、光はただ力一杯に土方を拘束しているといった風体だった。


「……んせい……」