その日の夕餉の時の事だ。平隊士たちは既に退出している広間の中には、少しばかり異様な雰囲気に包まれていた。


部屋の中には、組み合わせが珍しい4人が座り込んでいる1人を取り囲んでいる。



「……は、はは…………」


「……おい…………!」


「……その位にしておけ……」


「わっははは……! これは傑作だな!」


苦笑いをしながら、視線をあらぬところへ彷徨わせる近藤。眉間の皺を深くして睨む土方。咎めるような口調の斎藤に、笑いが止まらない芹沢。


「……ぐすっ――……うっぅ……」
彼らの視線には、強い酒を水のように煽り、号泣する光がいた。顔が真っ赤であることから、泣き上戸であることは一目瞭然である。


「……この野郎、悪酔いしやがって」
見かねた土方が光の持つ酒を取り上げようと、光の近くに寄った。
「ほら、酒寄越しやがれ」


「――……嫌……」


「『嫌』じゃねえだろうが。ったく、芹沢さん、飲ませ過ぎだぜ。これ以上、面白がって飲ませたら明日に響くだろ……」


「良いではないか。すかしたこの男がまさか泣き上戸とは……人とは見かけによらぬとはこのことだな」