「はっ……聡いのか阿呆なのかわからねえ奴だな。お前の疑いを晴らせる奴は、1人しかいねえだろ?」


「………………?」


「いきなり来た奴が総司に勝っちまうし……。そんな強ぇ奴が、こんな嫌われてる集団にわざわざ来る意味が分からなかった。もし間者や刺客なら、内に入れちまったら終いだからな……」


それを聞いた光はむしろ、なるほど、と納得しながら土方の話を聞いていた。今思えば、土方の態度も頷ける。


「だから、山崎に聞いた。『あいつは何者だ。信用できるのか?』ってな。そうしたら――……」






『光は俺の大切な弟分です。万が一、ほんまに間者やったら、俺は命に従って始末でも拷問でもします。せやけど理不尽に何かしたら…………分かりますやろ?』


――俺の刃は壬生浪士組(貴方)に向かいます。忘れんで居ってください――







その発言は隊士に非ず。
少し間違えれば、上司への反逆と捉えられても可笑しくはない。


脳裏に過ぎる山崎の顔を思い浮かべ、光は胸がくすぐったいような、微かな嬉しさが湧き上がった。