「! 土方副長。見苦しい所をお見せしてしまい――――」


慌てて身体を起こすと、堅苦しい挨拶をしようとする光に、土方は思いっきり嘆息をついた。


「あぁ、止めろ。こっちが疲れる」


「……はい」


何を思ったのか、土方は光の立つ横に腰を掛け、光に「阿呆、年上を見下ろすんじゃねえ。座れ」と促す。


恐々と腰を下ろす光とは対照的に、土方は余裕の表情で光を見やった。


情報収集なのか、こうして土方は数日おきに光の元にやってきて、組に変わりが無いかを光から聞き出すのだ。


「最近、変わりねえか。すっかりここの生活には慣れちまっただろ」


「変わりありません――……」


そこまで言った時に、可能性に過ぎないが、いつかは言わなければならないことがあった、と思い至った。


「生活にも慣れました。ですが、隊士からの嫌な視線にはなれませんよ……」
声を押し殺し、光は抑揚の感じ取れない平淡な声音で言葉を紡ぎ出す。


それにあわせて土方の表情は自然と固いものになり、眉間に皺を寄せた。