まわりにも同じ様な服を身に着けた若者がたくさんいた。その光は、紙切れを眺めている。



――ああ、テストで一位を取った時だ。



他クラスからは賞賛。尊敬。憧れ。
クラスメートからは嫉妬。嫌悪。
たくさんの視線が突き刺さる。



運動、勉強、音楽、料理。光は大抵の事をそれほど苦労せずに、高い基準ですることができる、いわゆる『要領がいい子』だった。



大人に囲まれて育った光は記憶力が良く、頭が回る。加えて外見も悪くなかったため、クラスメートからは嫉妬の視線ばかりを向けてきた。


『光ちゃんはすごいねー!』


『ごめん、あたしバカだからぁ』


『やっぱり天才は違うねえ』



――――そう言われるたびに、誉められている気がしないのは、相手が悪意を持って話しているからだろう。


違う、馬鹿にするな。
声を大にしてそう言いたかった。上を見れば、自分より上はいくらでもいる。勉強だけでも何人いることだろうか。


光は自分が決して特別な存在ではないことを弁えていた。