埋め込んだ場所は肝臓。
一気に引き抜くと、傷を埋めようとする勢いで血が溢れ出る。それは、心臓や首に比べて出血はあまりない急所だ。
――人間は簡単に死ぬ。あっけないほどに。
光は虚しさに襲われながら、決して死を忘れないように、そして罪の楔をから逃れないように、ゆっくりと崩れ落ちる男をしばらく見ていた。
いくら時が経とうとも、自分が他人にもたらした死を恐れ、死者の幻影に悩まされないことはない。
唯一、光に出来ること――それはただ死者を目に焼き付けて忘れないことだ。
やがて、光は背を向けて反対側の島原の方へ抜けていく。その目をさらに細めて月夜を仰ぎ見ていた。
――……それにしてもあの妖刀は、随分と危険な臭いがしていたな……。
あの男は、操られないと言っていたが、危険なことに変わりはない。
だが、下手に妖刀と関わると命が危ぶまれると聞いたことがある。噂に過ぎないが、用心するに越したことはない。
そのまま島原の門を潜り抜ける。着替えるために先程の小屋に入ると、すでに山崎は遊女ではなく、着流しを着て壁に寄りかかっていた。
一気に引き抜くと、傷を埋めようとする勢いで血が溢れ出る。それは、心臓や首に比べて出血はあまりない急所だ。
――人間は簡単に死ぬ。あっけないほどに。
光は虚しさに襲われながら、決して死を忘れないように、そして罪の楔をから逃れないように、ゆっくりと崩れ落ちる男をしばらく見ていた。
いくら時が経とうとも、自分が他人にもたらした死を恐れ、死者の幻影に悩まされないことはない。
唯一、光に出来ること――それはただ死者を目に焼き付けて忘れないことだ。
やがて、光は背を向けて反対側の島原の方へ抜けていく。その目をさらに細めて月夜を仰ぎ見ていた。
――……それにしてもあの妖刀は、随分と危険な臭いがしていたな……。
あの男は、操られないと言っていたが、危険なことに変わりはない。
だが、下手に妖刀と関わると命が危ぶまれると聞いたことがある。噂に過ぎないが、用心するに越したことはない。
そのまま島原の門を潜り抜ける。着替えるために先程の小屋に入ると、すでに山崎は遊女ではなく、着流しを着て壁に寄りかかっていた。