「――成る程、やはりそうですか。では、貴方が刀に操られたり、意識を乗っ取られたことはありますか?」


「……いや……それは、ない」
と、歯切れが悪いのは変わらないが、男はちゃんと否定の言葉を口にしてしまった。




そう、男の運命はここで決まったのだ。




妖刀を所持しているのは構わない。やむを得ず人斬りになってしまったのなら、それはそれで救いがいがあっただろう。


だが、この男はそうではないと言った。刀が操ったり乗っ取ったりすることはない、と。つまり、全て自分の意志で倒幕を掲げ、人斬りをしていたことになる。



任務として、土方から斬るように言われていた。だが、光は自分でも斬るに値する――斬らねばならない人物かを見定めていたのだ。


この男、十分斬るに値する。


首に当てていたクナイはそのまま、別に取り出したクナイを腹の辺りに深く深く埋め込んだ。


肉が裂かれる感覚が手にそのまま伝わり、果物が潰れるような鈍い音が、やけに耳につく。