｢監察はな、隊士に情報流されたらあかんねん。屯所の中と外では別人で居ったほうがええ｣


｢はい｣


お互いにあまり話す性格ではないため、その会話を最後に、背後を向いてそれぞれの服を身に纏う。


その後、山崎は長い髪のかつらを被り、髪の毛を綺麗に結い上げた。薄く白粉をして紅を引けば、美しい女性さながらだ。


背が高く、少し女にしては冷たい雰囲気から、上品な武家の娘にも見える。


一方光はというと、長い髪を低い位置で緩く纏め、煤を顔につける。


そして特徴として頬に黒子をつければ、元の美しさは欠片もないただの下男になった。


２人とも、元の面影はまるで無い。誰がみても、元の人物と同じであるとわかることはないほどだ。