復讐を止める。長年、片時も心の中にこびり付き、忘れることのなかった復讐を止める――。


そんな事が出来るのだろうか。


本来、壬生浪士組に入隊したのも、さらに強くなって、師の仇である浪士達を討つ正当な理由を手に入れたかったからだ。


近藤と土方には『生きたい』と言ったが、光の全ては先生であるため、本当は仇を討てれば命は必要無いくらいだ。


先生の復讐を諦める?
先生以上に大切な存在が出来る?
何となくだが、そうなればいいな……、と漠然に考えると胸が温かくなった。


「よし、ほんなら着替えよか」


そう言って山崎が取り出したのは、少し古く薄汚れた下男風の服と、若い娘が少し旅をするような服だった。


「……怪しまれたらあかんからな。島原に入るときから別人にならなあかん」


「わかった」