その頃、赤ずきんは森の入り口にさしかかりました。 しかしそこにはお腹をすかせた、不細工顔の悪い狼が赤ずきんを待ち伏せていたのです。 「うへへへ。うまそうな奴だな」 そう気色悪くつぶやいたあと、目一杯の笑顔をつくり、明るい声で赤ずきんに話しかけました。 「可愛いお嬢さん、どこへ行くの?」 赤ずきんは声のしたほうを見て、びっくりしました。 狼という存在に驚いたのではありません。 笑顔ともなんとも言い難いその顔に驚いたのです。