~美亜side~
「あ、スウィートコンビの片割れだ」
誰かが、冷やかすように言った。美亜はビクリと肩を動かした。
スウィートコンビ。
こういわれるようになったのは、高橋由希と同じクラスになった中学2年の時から。
背丈が全く同じで、2人とも可愛い顔立ちだから“スウィートコンビ”。
高校生になったら、そう言われなくなると思って耐えてたのに、由希君も同じ高校を受験していて、しかも同じクラス。
美亜の頑張りもむなしく、そのあだ名が消えることはなかった。

もうやだ…。
同じ学年だけじゃなくて、先輩にも広がってるから校内歩くの恥ずかしいよ…。

周りが美亜を冷やかしてるとき、誰かが美亜をかばうように立ちはだかった。
「お前らうるせーよ」
同じ背丈の人だった。
由希君…
「スウィートコンビ揃った」
「だーかーら!うるせっつってんの!」
笑う周りに、威嚇する由希君。
由希君は顔立ちが可愛いから、怒っても怖くなかった。
「由希怒っても可愛いんだけど」
まったくひるまない周りにイラついたのか、由希は美亜の手首を掴んで教室にもどった。