……でも、水狼のみんなと会わせてくれてありがとう。


どんな形であれ、水狼で過ごせたのはお兄ちゃんのおかげだから。


じゃあ…、そろそろ行くね。


また命日にでもここに来るから。


それじゃ…、しばらくの間バイバイ……。






静かに目を開ける。


ゆっくりと立ち上がり、また大荷物を持って石段を降りた。


大通りまで出て、タクシーに乗った。


さすがに、この荷物を持ってこの町を出れるほどの体力をあたしは持ってない。


「とりあえず……隣の県に向かってください。」


誰が聞いても困るくらいアバウトな行き先を運転手に告げる。


あたしを乗せたタクシーは、どんどん加速して進んでいった。