パッ

急に公園の入口から手を引っ張られる。
「えっ?!」私は驚きすぎて頭がついていかない。

私の手を引っ張ったのはさっきからずっーと考えている竜二だった。
「竜二っ!どうして?」彼は無言で私の手を引っ張ってベンチまで誘導していく。

そんな私の胸はドッキドキ…
さっきからドキドキしすぎて苦しい。あんなに嫌なやつなのに今日は特別にかっこよく見えた。
彼はベンチに座り私の顔を見る。

「あ、誕生日…おめでとう…」恥ずかしそうに頭をかきながら私の求めていた優しい言葉が降りかかってくる。夢なのか、現実なのか。夢ならば覚めたくない。このままがいい。

「ありがとう…」私も照れながら竜二に返事をする。
「てか、お前帰ってくるの遅い。俺のこと何時間待たせるんだよ…」幸せだったのにその言葉で体のどこかがキレたようなそんな気がした。

「最悪!!!普通それ言う?!雰囲気ぶち壊し!!やっぱり竜二だわ!」竜二の頬っぺたを思いっきりつねってやった。
「いってーよ!!何がぶち壊しだ?最高級だろーが」竜二はつねっている私の手を頬っぺたから引き離しながら自信たっぷりに言ってくる。

「もういいですー竜二に言ったところで…」でも私はニヤニヤしているのが自分でも気づいてしまった。
私、嬉しいんだ…竜二におめでとうて言ってもらいたかったんだ。彼からのおめでとうを本当は一番に望んでいたんだ。

そう心の中で呟いていると涙が溢れてきた。
あれ…?涙…