角を曲がり、寒空の元家路へと向かう。



コートをはぎ取られたあたしの背中はものすごく寒い。



父に肩を抱えられているのに全然温かくない。




彼はただの通りすがり。



普通なら、関わりなんて持つことのない人。




分かっているのに……ッ。





「紗希っ!!!」



あたしは踵を返して来た道を走って戻った。