あたしは投げ出すように座っていた足をブラブラさせる。



"見逃して"なんて言った覚えもないし、優しい言葉をかけてなんて頼んだ覚えもない。



可愛い顔してるなんて、先方の勝手な主観。



脅しなのか本気なのか知らないけれど、男性は子機を手にしたままあたしに視線を投げた。



「その制服、すぐそこの高校だろ。学校にこんな事がバレたら――…」


『じゃあ学校で』



間髪入れずに。



あたしは挑発的な言葉を浴びせかけていた男性に向かって言い放った。




これが部屋に連れて来られて、あたしが正常な意識の元で発した初めての言葉だった。