別に友達なんていらないと思っていたけど。




トイレへ行くにもあたしを誘わない。



美術室へ頻繁に出入りするあたしの後をくっついてきたりもしない。




栞も基本1人でやっていける子なのだと思う。


ハキハキしたさっぱりした子で付き合いやすかった。




そして今年もまた同じクラスになった。



“友達”も悪くないな。

栞に出会ってそう思った。






「また美術室に行ってたの?」




1限が始まるギリギリに教室へ戻って来たことを言っているんだろう。



少し呆れたタメ息を混ぜながら、あたしの机の上にひょいと乗る。