「おっはよ！」



１限目が終わると、あたしの元へ栞(ｼｵﾘ)が声を掛けて来た。



あたしの２人目の友達。


同い年では唯一の。




あたしは小学校の時から“自分の友達”と胸を張って言える様な子がいなかった。



お喋りはするけど、いざとなるとポツンと１人取り残される。




協調性を持って打ち解けようとしない、そんな自分に原因があるのは分かっていた。



そこへ何をどう間違ったのか「友達になろうよ！」って声を掛けて来たのが栞だった。




栞は高校に入る直前の春休みに、事故で足を骨折し出遅れた。




そのせいで、栞が学校へ来始めたときには女子のグループは出来上がっていた。



そんな中、今からその輪の中へ入るより、１人でいたあたしに声を掛けるのが利口だと思ったんだろう。