そんな理由でも、やっぱり家の中に自分と違う呼吸があることが嬉しかった。



昼間の時間帯の仕事を見つけて、フルタイムで働きに出始めた母親の為に、あたしが夕飯を作って待っている。



“美味しいわ。いつの間にかこんな事が出来る様になったのね。……これも全部私のせいね…”



そう言いながら、あたしの作ったご飯をいつも綺麗に食べ尽くしてくれる。




まだまだ会話は微妙だけど、きっとそれは時間が解決してくれる。





『翼、ありがとね』


「ん?なにが?」


『あの時断ってくれて』