そこには黒山の人だかりがあり、あたしが振り返った瞬間蜘蛛の子を散らす様にサーッと消えて行ったから。




クラスの子たちの輝いた目。


羨望の眼差し。




…そっか。


…そういう事か。




志摩先輩ともある人が、2年のフロアへ姿を見せたことなんてないから。


1年のフロアならまだしも。





「必ず来いよ」




咄嗟に振り返ると、そこには去っていく背中だけが映った。




……絶対に行かない。



悠然と歩いて行く後ろ姿に向かって、あたしは心の声で呟いた。