入り口を見ても誰もいない。



『誰……?』



あたしを尋ねてくる人なんて今まで誰もいなかった。



よそのクラスにだって友達はいないんだから。



もしかして騙されてる?



変な勘ぐりを持ちながらもクラス中の視線を浴びている今、あたしはとりあえず腰を浮かした。



ゆっくり椅子を引いて、彼女が指した前の扉まで歩く。



コソコソ囁き合う声を斜めに見て、首をかしげながら廊下まで出た。




そこには確かに人がいた。