栞の想いに少しだけ心の中に温かさを取り戻したものの、成瀬先生のことは今でも胸の中で燻り続けているままだった。




今日もいつもと同じように1日が過ぎていく。


50分の授業を終え、賑やかな休み時間へと移る。


あたしは授業中から伏せたままだった頭を、そのままにして休み時間を過ごしていた。



するとガヤガヤうるさかった教室内が、ざわざわっと緊迫感のある空気に変わった。



それは机に伏せているあたしでも分かるほど。



男女入り混じったどよめきが起き、いくつもの足音が行ったり来たりしたから。