家族にも。



母親なんかもう論外。父親だってあたしがここへ残ると言ったとき引き止めてさえくれなかった。



唯一最後まで期待していた人だったのに。



行くつもりはなかったけど“一緒に来ないか?”そんな風に言って欲しかった。




『……そうだよね。あたしなんかが愛してもらえるはずなんてない……。こんなあたしが本気で誰かを愛するなんてこと……出来るわけないんだ……』




成瀬先生への愛だって、本当はまやかしだったのかもしれない。



みんなが言うようにあたしは押しつけるだけの愛。


そんなの本当の愛じゃないのかも。




「そんな事言うな。

分かってたから……っ」




初めて聞いた。



成瀬先生の涙声を。






どうしてよ……。




『中途半端な優しさなんか要らなかった!抱いてくれないんだったらもう帰って!!』




成瀬先生の胸に手を当てると、それを力いっぱい向こうへ押しやった。