いつもはあたしの気持ちを軽くあしらうだけの先生が“分かってた”なんて言うのが滑稽に思えて仕方ない。



浮気がバレた恋人に、必至で弁解をする情けない男の図――


そんな風に見えて仕方がない。




「とにかくその足じゃ……

一旦……中に入ろう」




成瀬先生はあたしの足元を見ると、腕を引っ張った。



……まるで自分の家みたいな言い方。





何から何まで嫌になる。


所詮……親にも見放された様なあたし。



人を信用するなんてこと自体、間違っていたのかもしれない。