先生は頭から手を離すと、なるほどと笑った。



説明しなくても分かっててサラッと流すなんて、成瀬先生もここまでくればあたしの扱い上級者だ。



なんだかこう言い続けることも冗談の一つに捉えられていて、もうなんの効果もない。



狼少年と一緒。





偶然を装いながら一緒に校門をくぐると



「成瀬センセ~」

「会いたかった~」

「先生これなに焼け!?彼女と海外でも行って来た!?」


「おいおい、俺が何部の顧問か知ってるのか?」




次々に女の子が寄って来る。




あたしなんか視界に入ってないかのように間に割り込む。





……別にいいし。



立ち止まって、女の子に群らがられている成瀬先生を見送った。