県外の遊園地まで足を延ばしたため、着いた頃にはもうお昼近くになっていた。



『先生、あたしお弁当作ってきたの。食べよ!』



園内に入ると、あたしは家族連れで溢れている芝生スペースにシートを広げた。



その上にお弁当の入ったバスケット置き、中身を披露。



味はもちろん、見栄えにも気を配った色とりどりのおかずが顔を出した。



「凄いな!お母さんに教わったのか?」



いくつも開けられていく蓋を前に、成瀬先生は目を丸くした。



『まさか。あの人は勉強以外の事は教えてくれなかったよ』


「そうか。じゃあ独学か」


『うん。人って必要に迫られると出来ちゃうみたい。食べなきゃ生きてけないし』