「期末で数学トップだったら遊園地へ連れてって」




期末考査が始まる直前、あたしは成瀬先生にそんなお願いをした。



いつもの我儘なお願いも、自分では少しハードルを高くしたつもりだった。




幼稚園の頃に家族で行ったことがあるみたいだけど、そんなの小さすぎて記憶にない。



覚えている記憶を辿っても、家族でどこかへ出掛けたという記憶がなかった。




だから好きな人と遊園地へ行く…これがあたしのささやかな願いだった。