……となると。




あたしの足は、自然と記憶を頼りにある場所へ向かっていた。




成瀬先生の家。



一度も行ったことはないけど住所は知っている。




年末になると年賀状を催促しているのか、職員全員の住所が書かれたものがプリントされて配られていた。


…このご時世に。




完全にインプットされた住所を頼りに、あたしは目的地まで向かう。



“家は良くないな”



そう言って、今まで一度も連れて来てくれたことのない家。