「アハハッハ…」



二階からは、久しく聞いていない母の笑い声が聞こえていた……






――ガチャ。




今閉めたばかりの玄関のドアを静かに開けた。



外は相変わらずの雨。



視界も危ういほどグレーの世界。



水玉模様の傘を広げて、あたしはもう一度その中へ飛びだした。




取り敢えず行くあてもなく歩く。




『冷たい……』



学校から30分かけて帰ってきた体はすっかり冷えていた。