こじんまりした小さなアパートで、つつましく1人暮らしをしている瑶子ちゃんを見ていると、


高校生の娘に毎週2万円を渡している母親がとても情けなく思えた。



父からはかなりの養育費をもらっていると、親戚の噂話を小耳に挟んだことがある。



始めの方こそそれを使いきる様に遊んでいたけれど、今はその殆どを机の引き出しにしまっている。



やっぱり金銭感覚だけはきちんと持っていたいと思う自分が居た。



『山形に帰って就職しなかったのはどうして?』


「あっちにはあんまり友達もいないし、いい思い出もなかったからね」



瑶子ちゃんの顔が少し曇る。


以前そんなことをあたしに打ち明けてくれたことがあった事を思い出した。