「良かったらそれ持って行っていいわよ?」


『えっ、嘘!』


「ペアで揃えてあるから一つあげる」


『そういう意味で言ったんじゃなかったんだけど……』


「いいからいいから持って行って。紗希ちゃんとお揃いなんて嬉しいし」



そう言うと瑶子ちゃんはあたしの手からマグカップを奪い、作業用デスクからエアーキャップを持ってくるとグルグル巻きつけテープで止めた。



「これで割れないわ。はい」



あたしがなかなか受け取らないでいると、手を引っ張り強引に受け取らせた。



『ありがとう。大事にするね』