「名前……それから電話番号」




事務的にノートに何かを書き込みながら、目の前の男性はそうたずねた。




特に慌てる様子も騒ぎ立てる様子もなく、淡々と。


こういうことは日常茶飯事なのかもしれない。






桜の満開から1週間程経ち

地面に舞い散り、無残にも人々に踏まれ始めた今日。



そんな桜を哀れに思いながらふらっと立ち寄った1軒の本屋。