「こんな夜中に迷子ってなんやねん(笑)」



「あー!おはよう。ごめんねぇ。」



美桜は甘ったるい声で笑顔を向ける。



「どこまで案内したらええん?」



ローソンを出て立ち止まり、美桜に聞く。



「ん?あんたの店やで。」



「は?」



俺の思考回路は一旦停止。



「いきなり行ってびっくりさせようと思ってんけどなぁ。わからんくなってサプライズ失敗(笑)。」



いやいやいやいや!



かなりサプライズ成功やろ!



なんやねんこの女!



「どんくさ。まぁしゃあないから店連れてったるわ。」



素直じゃないよなぁ俺。



初めから素直に接することができてたら…



なにか変わったんかな?



今さらすぎるか(笑)。



緊張してあまりしゃべることもできずに店に到着。



俺の勤めていた店は当時、大阪ミナミでもかなり流行っているほうだった。



美桜を席に案内したのは開店してわずか30分程度だったがもう満席に近い。



「あとちょっと遅かったら満席で入れなかったね!」



美桜がほっとしたように微笑んだ。