――‥‥



[美胡ちゃん、おはよ。]



[おはよう、八城くん。]



美胡の表情はいつもと
変わらず冷静で。



[気まずいとか思わんの?]



[八城くんがあたしを嫌いでも
あたしには関係ないし。]



視線は窓の外にやったままの
美胡の髪が風に揺れる。



[髪、綺麗やなー‥。]



無意識に口から出てしまった言葉に
その顔がコチラを向く。



[あたし、八城くんが分からない。]



一瞬だけ泣きそうな表情を
した美胡にグラリと身体の奥の何かが
確かに揺らいだ。


どうせなら俺のことが大嫌いだと
言ってくれればいいのに。