テレビから視線を外し、おもむろに立ち上がった。 


キッチンに備え付けられたワゴンから、コーヒー豆とコーヒーメーカーを取り出し、フィルターをセットした。


たちまち、コポコポ…コポコポ…とコーヒーの落ちる音がして、部屋の仲は芳ばしい薫りに包まれた。 



流し台に目をやると、缶ビール2本とグラスがそのまま置かれていた。 



――…あっ、しまった!
洗い物しないで寝ちゃったんだっけ。



空になった空き缶を手に取ると、ベランダに置いてある分別のゴミ箱へと捨てた。 


カラーン。


空き缶がぶつかり合う、甲高い音がした。



抜けるような青空と、刺すように熱い太陽とが眩しくて、思わず目を細めた。