郁人が、わざわざ隼人に話をしに行ったなんて……。 

驚きで言葉にならなかった。 


ますます、事故の原因が自分にあるようで、生きた心地がしなかった。 


黙って俯いている私の方へ、ゆっくりと体を向き直した隼人。
   

「で、奈緒はどうなんだ?あいつのこと、好きになったのか?」


ゆったりとしているものの、低く重厚感のある声で、私の瞳を捕らえる。


「――えっ?な、何、言ってんのよ!そんな訳ないし……。第一、なんで、隼人にそんなこと言わなきゃならないの!関係ないでしょ!」 


ここは病院だということも忘れ、興奮し、思わず大きな声が出た。 


幸い、近くに誰もいなかったが、静まり返ったフロアーに響き渡る自分の声に、自分でも驚いた。


病院特有の、ツーンと鼻を襲うあの消毒薬の臭いが充満する中、


こんなにも力強く否定する自分に、少しだけ違和感を感じた。