ぽかぽか
ようやく寒い冬から春になった時の心がほっこりするあの感覚。
お布団のあったかさが気持ちよくてなかなか起きれない。
あ…ダメ…。
早く起きないと仕事に遅れちゃう…
ん。仕事……………?
「…!」
勘違いしている自分にハッとして目が覚めた。
あ…そっか、寝ちゃってたんだっけ。
そろそろ時計を見る為に、向こうに置いてるケータイを取りに行こうと思った。
くるまってる二重の毛布から出ようと、もそもそと動く。
あ、強盗さんと一緒に入ってるんだっけ。
「ごめんなさい、私眠っちゃって…」
背中側にいる強盗さんの方をチラッと見ると、強盗さんは後ろの壁にもたれるように眠っていた。
「…そっか。
強盗さんも眠くなっちゃったんだね」
どこの誰かも知らない赤の他人とおんなじ環境下にいて、おんなじ事しちゃってるなんて。
ふふっ。
外の雨の音が少し和らいできたような気がする。
このまま止んでくれたらいいな。