向かい合うようにして、私と強盗さんはコンビニパンを一緒に食べた。



壁は隙間があるけど、屋根は板を使って造られているから雨水は漏れてこない。


ザーザーと降る雨の音だけが小屋の中に響いた。



「スゴい雨…。
いつ止むのかなぁ」



「暫く降るだろうよ。
大雨の前日を狙って強盗に入ったんだからな」



「そうなんだ。
でもどうして?」



「その方がケーサツも捜査し辛いだろうし、立てこもる者には関係ないからな」



「あー、なるほど」



なんて、犯罪者に感心してどうすんのよ私!





「ねぇ、強盗さん…。
どうして銀行強盗なんかしたの…?」



ジャムパンを口に運びながら、私は何となく訊いてみた。



「……………」



パンを食べながら、強盗さんは応えない。



「…ごめんなさい。
余計な事、訊いちゃって」



「…人間、死ぬ気になれば案外何でも出来ちまうもんだな…」



「え…?
なに、よく聞こえなかったよ」



最後の一口を口に入れた強盗さんは、外装の袋をくしゃくしゃに丸めポンと壁に向かってポンと投げた。

そしてそのまま、何も答えなかった。