雨の勢いはおさまらず、ザーザーと音をたてて私たちを濡らしていく。




強盗さんは、雨と泥でベタベタになった私にお背を向けてしゃがむと、おんぶをしてくれた。



「強盗さん…どうして私を追いかけてきてくれたの…?」



消えろって言われて…

ほら、私って予定になかった面倒くさい人質じゃない?


私が警察に話しちゃうと思って、やっぱり口封じしようと思ったのかな。



「この雨の中じゃどっちみち帰るのは無理だろ。
それに…ほら」



強盗さんはポケットから何かを取り出して、背中にいる私に差し出した。



「これ…私のケータイ!」



「なくなったら困るだろ?」



これを返す為に私を探しに来てくれたの?

どうして?
私みたいな犯人の素顔を知ってる人間を逃がしたり、ましてやケータイなんか返しちゃったら自分の首を絞めるだけじゃない…!