はぁ…と心の中でため息をついてしまった。


せっかくの逃げるチャンスを失ったばかりか、ずっとバレなかったケータイすらとうとうバレてしまった。


これで連絡手段も断たれてしまったのだ。



しまった。

こんな事なら先にケータイで警察に連絡を入れておけばよかったのだ。


今頃気付いちゃったよ…。



パタンと閉じたケータイをスカートの膝の上に置いた。


それを強盗さんは拾い上げ、パカッと開いた。



「ちょっと借りるぞ」


…借りる?

普通なら、もらっとくぞ!とか言わない?



そう思って顔を上げて見ると、強盗さんは私のケータイを何やら操作し耳に当てた。


…どこかにかけたのかな。


耳に当てたまましばらく待っていたが、全く反応なし。


多分かけた先で、電話に出ないって事かな。