まずは、自由を奪う足首のロープに手をかけた。

まともに歩けないんじゃあ、逃げたってすぐに捕まるだけだもんね。


ギュッと縛られたロープを逆向きに引っ張ろうとするが…なかなか固くて動かない。

上手い具合にロープとロープが摩擦して、結び目が外れないのだ。


足だからどうしても力が入ってしまい、余計に結び目も固くなったと思う。



「私の力じゃビクともしない…」



何かロープを切るものはないのかな。

ハサミとかナイフとか…。



ゆっくり立ち上がって、小屋の箱の中を覗いてみた。



「…うわぁ」



すると、箱の中にはたくさんの食べ物が無造作に詰められていた。



パンもあるし、レトルト食品や乾物。缶詰めとかも…。

他の箱にも、食べ物やペットボトルの飲料水も入っていた。


まるで全部非常食。


…そうか。
銀行強盗でお金を得たら、ずっとここでほとぼりが冷めるのを待つつもりだったんだ。

だから多分、前日くらいまでにパンとかも用意していたんだわ。