『とにかく、その程度の仕事なら辞めて早く結婚でもしなさいよ!
早くしないと、年ばっかりくっちゃうんだから』



言いたい事を言うだけ言って、電話は切れた。


通話時間、32分。



「…はぁ………」



ケータイを開いたまま、私は床にゴロンと転がった。


結婚、かぁ。


早くしないと年ばっかりくっちゃう…。


私も今や26。

確かに、いつ結婚してもいい年だよね。


お母さんが心配してくるのもわかる気がする。


だけど…だけどね。


私には、待ってる人がいるの。




リビングのテーブルにいつも置いている金のピアス。


ちゃんと、預かってるよ。


預けとくってんだから、いつか受け取りに来てくれるんだよね。


強盗罪は懲役最低でも5年だと聞く。


実際は何年になったのかとか、私は知らないまま。


いいの。

いつかきっと私の所に来てくれるって、ずっと信じて待ってるから。



ね、強盗さん…。