どんどん小屋の方へ歩いていく警察官を、まるで尾行するかのようについて行く。



警察に犯人の居場所を教えなきゃという思いと、強盗さんに警察が来る事を教えたいという思いが同時に私の中で葛藤している。


だって…強盗さんは私を逃がしてくれたんだもの。

私だって同じように逃がしてあげたい…。


ううん、ダメよ。

何の理由があるのか知らないけど、私は被害者なんだから逃げて当然の身。


強盗さんは犯罪者なんだから逃げちゃいけないのよ。


だけど…

強盗さんは何の犯罪を犯したんだろう。



銀行強盗って言ったって、結局お金は1銭も得ていない。


誘拐した私には食べ物を分けてくれたし、大雨の中迷子になったのを助けてくれた。


そして最後には私を逃がしてくれたのよ。


強盗さんは…悪くないよ。


悪いのは、もう1人の強盗犯だけじゃないの?